役所広司の映画パーフェクトデイズを考察!つまらないor面白い
ベテラン俳優として未だに最前線で主役を務め、現在69歳という年齢にも関わらず色気や哀愁、奥深さなどすべての俳優を凌駕し続け得る役所広司さんですが
12月23日に公開された映画『PERFECT DAYS』がつまらない!いやいや、面白い!と賛否別れ話題となっています。
今回は役所広司さん主演のパーフェクトデイズの考察と「つまらないor面白い」を追求します。
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役所広司の映画パーフェクトデイズを考察!結論!45歳以上になったら見るべき映画
役所広司さん主演の映画『パーフェクトデイズ』は、日常の中に潜む深い意味や幸福感を丁寧に描き出した珠玉の作品です。
本作はヴィム・ヴェンダース監督が手掛け、2023年のカンヌ国際映画祭で役所広司が最優秀男優賞を受賞したことでも話題となりました。
物語の主人公である平山(役所広司)は、東京で公衆トイレの清掃員として働きながら、一見平凡な日常を過ごしています。
しかし、映画の評価や総評をみると多くのおじさん(45歳以上)達からは
「素晴らしい映画の一言につきる」
「この平山のトイレ掃除人生には憧れないが、生き方自体に憧れを感じる」
「役所広司しか演じえない映画の役ですべてが芸術的」
「おじさんと呼ばれる世代にしか、この映画の良さは伝わらないと思う」
「40代でこの映画に出会えてよかった、30代の頃ならきっと10分持たず観ることを放棄していたと思う」
など、やはりおじさん層には激刺さりする映画のようです。
逆に若い世代からは…
「何が言いたいのかはっきり言って良く分からなかった」
「トイレ掃除シーンばっかり、なにコレ?」
「つまらないクソ映画、時間返せ」
「意味不明な夢のシーンがイラついた」
「映像美は良かったが、平山の過去にもまったく触れないので感情移入し辛い」
など、散々ないわれよう。
しかし、映画自体の評価のアベレージは良く、フィルマークスでは4.1という高評価を叩き出しています。
この映画のレビューに多く語られているのは
「まあ、若者には分かるまい」という共通点があります。
確かに主人公「平山」は「足るを知る」という言葉を胸に秘めている様子があり、その部分では達観している生きざま。
若い人が観ても、良くて
「こんな人生もあるんだなぁ」
というぐらいの感想で終わりそうな映画。
「平山」が何故、毎日淡々とトイレ掃除の仕事をこなすのか?
朝の日の光に顔をほころばせるのか?
車での帰りに泣きたくなるぐらい幸福感を感じているのか?
木々の成長や木漏れ日に美しさを感じるのか?
20代・30代で理解できる方がスゴイと思いますが…。
映画レビューを見る限り「40代~50代」になると理解しやすい映画だと感じます。
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人生はその人生を生きる人間が主人公
この映画の中で平山が姪っ子に
「今は今」と言うシーンがあります。
作中、主人公「平山」は他人と比べたり、自分のペースを崩したりという事はほとんどありません。
「つまらない人生」といえるのはその人生を生きている本人だけのように、平山にとっては淡々とした日常が「幸福」であり
唯一無にのものなのだと感じることができます。
また、車に搭載するカセットも「ニーナ・シモン」「ルー・リード」「パティ・スミス」など1970年代を代表するアメリカのミュージシャンのカセットテープ。
姪っ子に
「スポティファイとかにある?」
と言われ
「どこの店?」
と返してしまうぐらい、現在の事情に疎く、携帯もガラケー。
趣味の写真もネガを写真屋で現像してもらいます。
しかし、それでいい。
と思わせてしまう説得力と当り前さがそこにあります。
20代~30代・若い時に観てもピンとこない
この映画が20代・30代に響かないのはある種「当たり前」だと感じます。
役所広司演じる「平山」にも若い多感な時があり、人を陥れたり、犯罪スレスレのことをしたり、人に対して並々ならぬ憎悪を抱いたり、憎んで憎まれてという時もあったかもしれない。
もしあったとして、今の平山はそんな過去を乗り越えてきた人間であり、若者の心も理解するが、深入りもしないスルースキルも養ってきている。
それなりの苦労や人生のストーリーがあり今を生きている。
それも自分に正直に、偽りなく、人を傷つけることも無く、最後の時まで淡々と幸せを噛みしめながら丁寧に生きる。
今の若者の気持ちはさほどわかりませんが、多くの人は若い時に、そんな気分にはなれないでしょう。
「一旗あげたい」
「もっとお金がほしい」
「異性ともっと遊びたい」
「沢山の人に認められたい」
「自分の願望のすべてを叶えたい」
それを全力で感じて動いている若者には平山のような、ある種「達観」している境地の景色を眺めるにはまだまだ山を登る必要があるということですね。
主人公に共感を得にくい
もう一つは主人公の表現に共感しにくいということも挙げられます。
若者のみならず、これは40代・50代視聴者も同じような事を書いています
おそらく、これは脚本家・監督のヴィム・ヴェンダース氏の演出の「やりすぎ」によるものだと推測。
役所広司さんの演技力も相まって、この表情はなんなの?と感じる時があります。
いや、どんな感情?みたいな。
若者が困惑する部分なのかなぁと感じました。
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実家は金持ち?役所広司が演じた「平山」の過去などは出てこない
物語がすすみ、まったく淡々と変化が無いという訳ではない本作ですが、大きな見どころとして、急に姪っ子が家出をして
主人公平山のアパートに転がり込んできます。
そこでストーリーが大きく転がる事もないのですが、人生のイベント的な発生があり、その時に平山の過去が少しは垣間見せるのか?と思いきや
父親に関するくだりが妹の口から少し漏れるだけで、特に何もありません。
平山の日常はここでも淡々と進みます。
姪っ子や妹に涙…父親と確執?トイレ掃除のシーンが多すぎるとの声も
姪っ子を迎えに来た妹は、運転手付きのリムジンで平山のアパートへ来ます。
「本当にトイレ掃除してるの?」と妹
「…ああ」と平山。
妹はどこか兄である平山を見下げた目で見ています。
しかし、平山はやさしく
姪っ子を別れ際に抱きしめ
その次に、妹を抱きしめます。
妹もその時、優しい兄を思い出したのでしょう。
何か言いたげな…という感じでゆっくりと車に乗り込みます。
二人が去ったあと平山は泣きます。
このシーンで妹は
「もう昔みたいな感じじゃないから、会いに行ってみれば?」と父親が入院していることを平山につげています。
しかし平山は首を縦には振りません。
恐らくですが、平山の家は大金持ちであり、何かの確執が有り家を出ているということが予想されますが、想像の枠をでません。
また、ここでも平山の過去は全く掘り下げられません。
結局このシーンも平山の人生のイベントに過ぎず、平山の日常は続きます。
この作品全体を通して、トイレ掃除シーンが多すぎるというレビューもちらほらあります。
毎日トイレ掃除を丁寧に行っているということと、これがこの平山という男の仕事であり生きざまという所を監督は見せたかったのかもしれませんが
もう少しストーリーの掘り下げがあると若い人からも共感が得られたかもしれませんね。
ラストの涙の意味は?
そして、ラストシーン。
役所広司(平山)のアップの涙で終わります。
まるで、笑っているような、泣いているような、感動しているような、そんな顔です。
この最後の表情が意味するところは正直見た人の感性にゆだねられると言ったところでしょうか?
また、監督がこのシーンの発注を役所広司さんにしたと考えると、ヴィム・ヴェンダース監督は相当、役所広司さんを俳優として信頼、尊敬しているということになります。
本当に難しいシーンだと感じました。
最後のシーンは平山のすべてを表していると考えてもおかしくはありません。
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役所広司の映画パーフェクトデイズを考察!つまらないor面白い・まとめ
この映画自体、物語というよりは日本人の心の美しさなどを切り取った映画のような映像という見方もできると思います。
個人的には「おもしろい」し、感慨深い映画だと感じます。
特に田中泯さんが浮浪者の役で出演していたのは印象的ですが、アオイヤマダさんなども起用されています。
監督はダンサー好きなんですかね?
最後にすごい気になったのは〇×ゲームの相手は誰だったのでしょうか?
というところです。
今後も役所広司さんの映画・出演や情報を追求していきたいと思います。